新しいクラスが決まり、担任の先生の名前を知る。うれしさと同時に、「今年はどう伝えよう」という気持ちが立ち上がってくる方は少なくありません。毎年、同じ説明を最初からし直している気がする——そう感じたことがあるなら、それは伝え方が下手だからではなく、情報が流れる仕組みのほうに理由があります。
この記事では、発達障がいのあるお子さんの特性を担任の先生に伝えるときに、いつ・誰に・何を・どう書くかを整理しました。学校という組織がどう相談を受け止める仕組みになっているかを先に押さえ、そのうえで手紙や連絡帳の文例、年度はじめ以外の伝えどきまで扱います。
なお本記事は2026年9月時点で公開されている情報にもとづいています。学校の運用には学校差・自治体差があるため、詳細はお子さんの学校・お住まいの自治体でご確認ください。
担任の先生は、制度上の「相談の入口」です
文部科学省の「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」(平成29年3月)には、第5部として保護者用の章があります。国が「保護者が学校にどう伝えるか」を直接書いた、めずらしい資料です。そこにはこう書かれています。
保護者は,基本的には,子供が在籍する学級担任と連絡を取り合うことになります。
つまり、担任の先生に伝えるのは正しい入口です。裏道を探す必要も、いきなり上の立場の人に話を通す必要もありません。
そのうえで、同じ章はもうひとつの窓口も案内しています。
学級担任に相談することが難しい場合は,特別支援教育コーディネーターに相談することもできますので,積極的に活用してください。
特別支援教育コーディネーターは、同ガイドラインによれば「特別支援教育についてのコーディネート役を担う教員」で、他の教員や関係機関との連絡・調整を行い、保護者からの特別支援教育に関する相談窓口を担っています。校内にいる先生のうちの一人が、この役割を兼ねていることが多い仕組みです。
伝えた話は、担任の先生一人で抱えるものではありません
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。学校の支援は、担任の先生が個人で背負うようにはできていません。
文部科学省の「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月改正)は、学校での流れをこう書いています。
学校においては,幼児,児童及び生徒・保護者等からの相談及び現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明を受けた学級担任や特別支援教育コーディネーター等と本人・保護者との対話による合意形成が困難である場合には,校内委員会を含む校内体制への接続が確実に行われるようにし,校長のリーダーシップの下,合意形成に向けた検討を組織的に行うことが必要であること。
同じ指針は、校長について「特別支援教育コーディネーターの指名,特別支援教育に関する校内委員会の設置を一層徹底し,本人・保護者からの相談に組織的かつ迅速に対応する体制を整備すること」も求めています。
担任の先生に話す → 校内の体制につながる。これが制度上の設計です。だから「先生一人に負担をかけてしまうのでは」と遠慮しなくて大丈夫ですし、逆に「担任の先生が分かってくれない」という話でもありません。先生も組織の一員として、その入口に立っています。
学校の側にも、伝えることのチェックリストがあります
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課は、「発達障害を含む特別な教育的支援を必要とする児童生徒への適切な支援に向けた新年度における対応について(依頼)」という事務連絡(令和8年3月26日)を出しています。新年度に向けて、学校側が何をすべきかを整理したものです。
そこには、こう書かれています。
各学校においては、発達障害を含む特別な教育的支援を必要とする児童生徒が全ての学級に在籍している可能性があることを前提として、これらの児童生徒への校内における支援について、入学や進級等の機会に、本人や保護者に対して組織的に確実な情報提供を行う
添えられた別紙には、学校から本人・保護者への確実な情報提供に向けた5つのチェックポイントが並んでいます。要約すると次の5つで、いずれも「学校として適切な情報提供ができていますか」という形の問いです。
- 学習面・行動面の困難や発達に関する不安等に関する相談窓口の所在、担当する教職員、連絡手法
- 支援に関する学校としての基本的な方針や支援体制
- 学校や教育委員会が行っている個別的な支援の内容(通級による指導の情報を含む)
- 用意している教材やICT機器等とその活用の方法
- 学校における合理的配慮の提供に向けたプロセス
つまり、学校の側も「伝えなければ」と思っている、ということです。保護者からの相談は想定外の来訪ではありません。「うちの学校の相談窓口はどなたですか」と尋ねることは、この1番目そのものです。聞いていいことを聞くだけなので、身構えなくて大丈夫です。
何を伝えるとよいか——公的資料が挙げている中身
先ほどのガイドライン第5部は、伝える内容についても具体的に書いています。
学校側に伝える内容としては,生育歴や療育歴を中心に,日常生活での特徴的な行動や家庭で実施して効果的であった対応の方法等が考えられます。学校側が理解しやすいように具体的に伝えると良いでしょう。
そして、もうひとつ。
子供を,どのように育てていきたいか,という保護者の願いをしっかりと学校側に伝えることも重要です。
困りごとだけでなく願いを伝えることが、国の資料に書かれている、というのは覚えておくと役に立ちます。「何に困っているか」の話だけだと、会話がどうしても苦しい方向に寄っていくからです。
並べる順番は、公的な参考様式が教えてくれます
文部科学省は「個別の教育支援計画の参考様式について」(事務連絡・令和3年6月30日)で、個別の教育支援計画の参考様式を公開しています。学校が使う様式なので保護者が書くものではありませんが、欄の並び順が、そのまま伝え方のヒントになります。
- 「本人の願い」と「保護者の願い」が別の欄になっている(=本人がどう言っているかは、保護者の意見とは別の情報として扱われる)
- 実態の欄は「得意なこと・好きなこと」が「苦手なこと」より先にある
- 「苦手なこと」の欄には「学校生活、家庭生活で、特に支障をきたしている状況を記入すること」という注記がある(=性格の評価ではなく、状況を書く欄)
- 関係機関に関する情報、支援の方向性、評価、引継ぎ事項、備考と続く
- 末尾に確認欄があり、「このシートの情報を支援関係者と共有することに同意します。」「このシートの情報を進学先等に引き継ぐことに同意します。」という2つの同意の欄が置かれている
記入例の書きぶりも参考になります。1行1事象の短い箇条書きで、行末に「(学校)」「(家庭)」とどこで見た様子かを添える。この作法だけ借りると、伝えたいことがぐっと整理しやすくなります。
なお、書き方そのもの——「○○であれば△△できます」と書く、擬態語や形容詞を行動に言いかえる、といった原則——はサポートブックの作り方・書き方ガイドで項目別の記入例つきに整理しています。本記事では重複を避けて、そちらに譲ります。
そして、整理できていなくてもかまいません
ガイドライン第5部には、こんな一文があります。
保護者は,以上のような内容をあらかじめ具体的に整理して学校側に伝えていくことで,相談がスムーズに行くと考えられます。整理することが難しい場合でも,学校と相談しながら整理していくこともできます。
後半が大事です。整理は、学校と一緒にやってもいい。完璧な資料を作ってから相談に行かなければならない、という仕組みではありません。
いつ伝える?——年度はじめだけではありません
「新学期に一度きり」と考えると、その一回に力が入りすぎます。実際には、伝えどきは年間に何度もあります。
| タイミング | 伝えること |
|---|---|
| 入学前(就学に向けた時期) | 入学前に伝える仕組みは自治体ごとに用意されていることがあります。名称や様式は地域によって異なります |
| 新年度・新学期のはじめ | 全体像を短く。得意・好き/困る場面/家庭で有効だった対応/お願い1〜2点 |
| 担任交代・転入の直後 | あらためて短い挨拶と要点。年度途中の交代でも同じです |
| 面談・懇談の前 | 話したいことを1枚にまとめて事前に渡すと、当日の時間が中身に使えます |
| 行事の前(宿泊・運動会・校外学習など) | その行事に固有の心配ごとと、家庭で用意できること |
| 変化があったとき | 体調・睡眠・家庭の状況・通っている機関の変化など、短く一報 |
| うまくいったとき | 助かったこと・お礼。ここを飛ばさないと、やりとりが双方向になります |
面談や懇談の有無・時期・回数、家庭訪問を行うかどうかは、学校や自治体によって異なります。全国共通の標準は確認できませんでした。年度はじめに配られる年間行事予定で、お子さんの学校の形を確かめておくのが確実です。
「毎年ゼロから」ではありません。ただし、細部までは自動で流れません
制度としての引き継ぎ経路は、たしかに用意されています。
- 学校教育法施行規則第24条第2項は、進学した場合に校長が指導要録の「抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならない」と定めています(転学の場合は同条第3項)
- 同規則第134条の2は、個別の教育支援計画について「校長は(略)作成しなければならない」とし、作成に当たっては「当該児童等又はその保護者の意向を踏まえつつ」関係機関等と必要な情報の共有を図らなければならない、と定めています
- 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)は、「担任や学校等が変わっても,教育上の合理的配慮を含む必要な支援の内容の提供が,切れ目なく確実に引き継がれるよう努めていくことが重要である」としています
ただし、ここには読み方の注意が2つあります。
1つ目。個別の教育支援計画の作成義務がかかるのは、特別支援学校・特別支援学級・通級による指導を受けるお子さんです(同規則第134条の2と、それを準用する第139条の2・第141条の2)。通常の学級だけに在籍している場合、小学校学習指導要領(平成29年告示)は「個別の教育支援計画を作成し活用することに努める」と書いており、全員に作られるものではありません。「作ってもらえるはず」と考えず、現在どうなっているかを学校に尋ねるところから始めるのが確実です。
2つ目。手引が「努めていくことが重要である」と書いていることからも分かるとおり、これは努力を求める規定です。制度としての経路はありますが、家庭で見つけた細かなコツまでが自動的に次の先生に届くとは限りません。だから、年度はじめにあらためて共有することには、ちゃんと意味があります。「前にお伝えした内容ですが」と一言添えて渡し直すので十分です。
引き継ぎそのものの負担については新学期の引き継ぎ特集でも扱っています。
手紙・連絡帳に書く6つのブロック
ここからは書き方です。順番に埋めていくと、だいたい形になります。
- 挨拶・感謝(公的な根拠があるわけではありませんが、読む側の受け取りやすさが変わります)
- できていること/得意なこと・好きなこと——参考様式でも「苦手なこと」より先に置かれている情報です
- 困っている場面——いつ・どこで・何が起きるか。性格の評価にしない
- 家庭で有効だった対応——ヒントとして渡す。学校でどう実装するかは先生の判断に委ねる
- お願い——1〜2点に絞る。「〜していただけると助かります」「一緒に考えていただけたら」の形で
- 学校での様子を教えてほしいという問いかけ+連絡手段の希望——一方通行にしない
逆に、入れないほうがよいものもあります。
- 法令名を持ち出さない。制度の枠組みを知っておくことと、文面に法令名を書くことは別です。書かなくても、相談は制度の枠組みの中にあります
- 「〜すべきです」という要求形を並べない
- 他のお子さんや、過去の先生についての評価を書かない
- 長さはA4片面1枚までを目安に。学期のはじめは、先生の側も受け取る情報がとても多い時期です
場面別の文例(すべて架空・一般化したものです)
以下はすべて架空の一般的な例で、特定のお子さんのものではありません。言い回しの型だけ借りて、中身はご家庭の言葉に置きかえてください。
A. 新年度はじめに渡す手紙
○年○組 ○○の保護者です。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
本人のことで、先にお伝えしておくと助かるかもしれないことを、簡単にまとめました。お手すきのときにご覧いただければ幸いです。
【得意なこと・好きなこと】絵を描くことが好きで、一度集中すると長く取り組めます。手順が決まっている作業は落ち着いて進められます。
【困りやすい場面】急な予定の変更があると、気持ちの切り替えに時間がかかることがあります(家庭)。ざわざわした場所では、聞き取りにくいことがあるようです(家庭)。
【家庭で試して、うまくいっていること】前の日に翌日の予定を一緒に確認しています。変更があるときは、分かった時点で早めに伝えるようにしています。ご参考まで、学校でのやり方は先生にお任せいたします。
【お願いできればありがたいこと】予定の変更が分かった際に、可能な範囲で早めに声をかけていただけると助かります。難しい場合もあると思いますので、一緒に考えていただけたらうれしいです。
学校での様子で、気になることや「家ではどうですか」と思われることがありましたら、連絡帳でお知らせいただけますでしょうか。こちらからも折々でお伝えします。
B. 連絡帳の短文(3〜5行、1回1件)
いつもありがとうございます。昨夜あまり眠れなかったようで、今朝は少しぼんやりしています。日中つらそうでしたら、無理のない範囲でご配慮いただけますと助かります。
お世話になっております。来週の校外学習について、本人が少し不安を口にしています。当日の流れが分かる範囲で教えていただけますと、家で一緒に準備できます。お手すきのときで構いません。
連絡帳は1回1件にすると、返事も返しやすくなります。複数のお願いをまとめて書くより、日をあけて分けるほうが結果的に伝わります。
C. 面談の前に渡す1枚メモ
【面談でご相談したいこと】
1. 最近の学校での様子(休み時間の過ごし方、友達との関わり)を教えてください。
2. 宿題に時間がかかっており、量や進め方について一緒に考えられたらと思っています。
3. 家庭では、取り組む前に3つに分けて順番を決めると進みやすいようです(家庭)。
※ 時間が限られていると思いますので、1と2を優先していただければ十分です。
優先順位を自分で書いておくのがこのメモのコツです。全部話しきれなかったとしても、どこから話すかが決まっていれば、面談は前に進みます。
D. 担任の先生が交代した直後の挨拶
○年○組 ○○の保護者です。あらためてよろしくお願いいたします。
これまでお伝えしてきた内容と重なりますが、要点を1枚にまとめました。必要でしたら、以前の資料もお出しできます。まずは学校での様子を見ていただき、気づかれたことがあればぜひ教えてください。
E. うまくいったときのお礼・報告
先日、席の位置についてご配慮いただきありがとうございました。本人が「聞きやすくなった」と話していました。しばらくこの形で様子を見ていただけますと助かります。
これがいちばん飛ばされやすく、いちばん効きます。うまくいったことを伝えると、次の相談がしやすくなります。連絡帳が「お願いを書く場所」ではなくやりとりの場になっていきます。
F. 学期の途中で変化を伝える短い連絡
いつもありがとうございます。今月から通っている場所が変わり、生活のリズムが少し変化しています。しばらく疲れやすいかもしれません。学校で気になる様子がありましたら、お知らせいただけますと幸いです。
「配慮のお願い」と合理的配慮の関係
お願いごとを書くとき、その言葉が制度の中でどう位置づくのかを知っておくと、気持ちが少し楽になります。ここは制度の話で、文面に書く必要はありません。
合理的配慮の提供は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の改正により、先ほどの事務連絡の言葉を借りれば「令和6年度から国公私立全ての学校について義務化されている」状態です。
その出発点は意思の表明です。内閣府の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(令和5年3月14日閣議決定)は、本人の意思の表明が困難な場合には「障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が、本人を補佐して行う意思の表明も含む」としています。保護者が伝えることは、この枠組みの中にあります。
そこから先は建設的対話です。文部科学省の対応指針はこう書いています。
建設的対話に当たっては,障害者にとっての社会的障壁を除去するための必要かつ実現可能な対応案を障害者と関係事業者が共に考えていくために,双方がお互いの状況の理解に努めることが重要であり,例えば,障害者本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や,関係事業者が対応可能な取組等を対話の中で共有する等,建設的対話を通じて相互理解を深め,様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられること。
ここが、この記事の中核です。「普段講じている対策」を対話の中で共有する——家庭でうまくいっている工夫を伝えることが、そのまま建設的対話の材料になる、と書かれています。「家ではこうしています」は、お願いの前置きではなく、対話の中身そのものです。
正直に書いておきたいことが2つあります。ひとつは、提供されるのが「過重な負担のない範囲での合理的配慮」である、ということ(令和8年3月26日事務連絡の表現)。伝えたお願いが常にそのまま通るわけではありません。「双方がお互いの状況の理解に努める」という言葉のとおり、学校側にできることの幅も対話の材料になります。
もうひとつは、それでもやり直しがきくということ。同じ対応指針は、
合理的配慮の合意形成後も,幼児,児童及び生徒一人一人の発達の程度,適応の状況等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要であること。
としています。一度決めたら終わりではなく、見直す前提の仕組みです。
なお、対応指針は法の対象となる障害者について「いわゆる障害者手帳の所持者に限られない」としています。相談は、診断の有無にかかわらずできます。学校の支援が診断名だけで決まる仕組みにはなっていません。ただし、個別の配慮がどう決まるかは学校との対話によるため、「診断書がなくても必ずこの配慮が受けられます」といった断定はできません。受診や診断についての判断は、この記事の範囲ではありません。気になることがあれば主治医や相談機関にご相談ください。
学校での様子を教えてもらう——一方通行にしない
伝えることばかりに気を取られがちですが、ガイドライン第5部が最初に置いているのは聞くことです。学校に尋ねる観点として、こんな例が挙げられています。
- 学校での友達関係はどうか
- 休み時間はどのように過ごしているのか
- 積極的に取り組んでいる教科は何か
- クラスの中に居場所はあるか
- 周りから褒められた活動(取組)はないか
- 集団の中でトラブルがないか
「褒められた活動はないか」が入っているのが、この一覧のいいところです。困りごとの確認だけでない問いを混ぜると、会話の色が変わります。
同じ章は、先生の側の考えを聞くことも勧めています。「子供の様子について,先生が気になっていることや困っていること等がないか」「どのような教育方針を大切にして,子供たちへ指導をしているのか」を尋ねることも大切だ、と。先生が困っていることを聞く——ここまで含めて、対話です。
そして、話が食い違うときの具体的な提案も書かれています。
また,子供の訴えと教員からの話に相違があると感じる時には,心配を募らせるよりも,授業参観を申し出て,学校の様子を具体的に見せてもらうことが,より良い解決につながることも多くあります。
逆に、家庭から出すべき情報についてもはっきり書かれています。「保護者からは,放課後等の活動や家庭での様子(学校外の時間)について学校に積極的に伝えてください」。学校の外で起きていることは、伝えなければ学校には見えません。
放課後等デイサービスなど、学校の外の支援先との情報のやりとりについては放課後等デイサービスに、お子さんの特性をどう伝える?で扱っています。
手段は学校によって違います
手紙・連絡帳・電話・メール・面談。どれを使うかは、学校の運用によります。平成22年版の同ガイドライン(第5部 保護者・本人用)には、こんな一節があります。
連絡帳や電話,メールなどを使い,お互いに負担にならない程度に,連絡は密にするよう心がけます。
「お互いに負担にならない程度に」という言葉が置かれているのが、現実的で助かります。同じ版には、「資料は簡潔にまとめて渡すようにします」ともあります。
ただし、連絡帳が紙かアプリか、どの程度の頻度で書くものか、返信があるものかどうかは学校によって異なります。手紙の宛先や渡し方(連絡帳にはさむ/ 封筒で/面談で直接)も同様です。年度はじめに「ご連絡はどの方法がいちばんご負担が少ないでしょうか」と一度尋ねておくと、その後がずっと楽になります。
また、サポートブックのような資料を渡したからといって、必ず読まれる・必ず次年度に引き継がれる、というものではありません。渡したうえで、大事な1〜2点は口頭でも伝える。これが結局いちばん確実です。
入学前の時期については、自治体が用意している仕組みを就学支援シートの書き方で整理しています。
最初の1回で、完璧に伝えなくて大丈夫です
ここまで書いてきましたが、いちばん伝えたいのは最後のことです。
担任の先生に伝えるのは制度上の正しい入口で、そこから校内の体制につながる設計になっています。学校の側にも、保護者に情報を提供するためのチェックポイントがあります。合理的配慮は合意形成のあとも柔軟に見直しができることが重要だとされています。そして国のガイドラインには、整理することが難しい場合でも学校と相談しながら整理していける、と書かれています。
つまり、最初の1回で全部を伝えきる必要はありません。得意なこと・好きなこと/いま困っている場面/お願いしたいこと1点——この3つだけ書いて渡せば、年度はじめは十分です。あとは、学期の途中でも、うまくいったときでも、足していけます。
参考にした情報
- 文部科学省「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」(平成29年3月)第5部 保護者用
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/1383809.htm - 文部科学省 事務連絡「発達障害を含む特別な教育的支援を必要とする児童生徒への適切な支援に向けた新年度における対応について(依頼)」(令和8年3月26日)
https://www.mext.go.jp/content/20260326-mext-tokubetu01-100002896_00.pdf - 文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月改正)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/mext_02599.html - 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(令和5年3月14日閣議決定)
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/r05/pdf/honbun.pdf - 文部科学省「個別の教育支援計画の参考様式について」(事務連絡・令和3年6月30日)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250_00005.htm - 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250_00001.htm - 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第24条、第134条の2、第139条の2、第141条の2
https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000080011 - 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」第1章 総則
https://www.mext.go.jp/content/20230120-mxt_kyoiku02-100002604_01.pdf - 文部科学省「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」第5部 保護者・本人用(平成22年版)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1298171.htm
(各リンクの最終確認日: 2026年9月2日。制度や様式は改定されることがあります。また、面談・懇談・家庭訪問の有無や時期、連絡帳の運用、手紙の渡し方などの運用には学校差・自治体差があるため、詳細はお子さんの学校・お住まいの自治体でご確認ください)
よくある質問
担任の先生にはいつ特性を伝えるとよいですか?
新年度の早い時期に加え、学期途中で様子が変わったとき、行事の前、面談前、担任が交代したときも伝える機会です。
担任への手紙には何を書けばよいですか?
得意なこと、困りやすい場面、本人の意思表示、家庭でうまくいっている対応、学校へ相談したいことを短い項目に分けて書きます。
連絡帳はどのくらいの長さがよいですか?
1回につき1件、3〜5行程度を目安に、事実、家庭での対応、先生に確認したいことを簡潔に書くと読み取りやすくなります。








