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サポートブックの作り方・書き方ガイド|項目別の記入例つき

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クリアファイルに用紙を入れてサポートブックをまとめる保護者の手元。テーブルにはふせん・写真・カラーペンが並んでいる

入園、入学、担任の交代、放課後等デイサービスの利用開始。お子さんに家族以外の人が 関わりはじめるたびに、同じ説明を一から繰り返している——そんな心当たりはないでしょうか。 サポートブックは、その説明を紙にまとめておくための冊子です。

とはいえ、白紙の様式を前にすると手が止まります。この記事では、自治体が公開している サポートブックの様式・記入例・研修資料をもとに、書き方の原則と項目別の記入例を 整理しました。

サポートブックとは(作るのは保護者です)

神戸市発達障害者支援センターは、サポートブックを、お子さんに家族以外の人が関わるときに、 支援者へ知っておいてほしい情報をまとめておく冊子として説明しています。ポイントは、作成し、管理するのは保護者だという点です。学校や行政が作って渡してくれる 書類ではなく、家庭が主体になって作り、必要な相手に渡すものです。

ねらいは大きく2つあります。

  • 新しい場所や初対面の人であっても、お子さんが安心して過ごせるようにする
  • 保護者が毎回細かく口頭で説明しなくても、必要なことが伝わるようにする

さらに、支援者から聞いた様子を書き足していくことで、保護者と支援者のコミュニケーションツールにもなります。

どんなときに使うもの?

神戸市の資料は、次の4つの場面を挙げています。

  1. 園・学校・放課後等デイサービスなどに通いはじめるとき/担任が変わるとき
  2. 宿泊を伴う行事(自然学校・修学旅行など)
  3. 一時的に預けるとき(託児、祖父母、友人など)
  4. 家族のなかで支援の方法を共有したいとき

4つ目に注目してください。外に渡すためだけのものではなく、祖父母やきょうだいと 「こうすると落ち着く」を共有する道具としても使えます。

就学支援シート・個別の教育支援計画との違い

名前の似た書類が複数あるため、ここがもっとも混乱しやすいところです。 作る人と目的が違います。

サポートブック就学支援シート個別の教育支援計画
作るのは保護者保護者+園・療育機関学校(校長が中心。保護者が作るものではありません)
目的家族以外の支援者に、日常の関わり方を伝える就学時に、小学校へ配慮を引き継ぐ在学中の支援を、関係機関と連携して計画する
時期随時・繰り返し原則、就学時(自治体が定める提出期間があります)在学中に作成・見直し
渡す先園・学校・放課後等デイサービス・託児・祖父母など、任意入学先の学校(学校が作成し、関係機関と共有)

つまり、サポートブックは就学支援シートの代わりにはなりません。 ただし、就学支援シートを書くときの下書きとしては非常に役に立ちます。日ごろから まとめてあれば、必要な項目を写して整えるだけで済みます。

個別の教育支援計画は、平成30年8月の学校教育法施行規則の改正で省令に位置づけられた もので、関係者が多く関わることから、文部科学省は保護者の同意を得るなど個人情報の適切な取扱いに留意することを求めています。

サポートブックの書き方6つの原則

ここからは公的資料に書かれている原則です。

1. 書けるところから書く

きれいな文章にしなくてかまいません。メモや走り書きで十分です。思い出せない部分は空白のままでよく、後から書き足せます。園や相談機関で様子を聞いたときに 追記していけば、少しずつ埋まっていきます。

2. 「○○であれば△△できます」と書く

いちばん大事な原則です。「□□できません」と書かれても、受け取った支援者は どうしていいか分かりません。条件つきの肯定形にすると、その場で試せる 情報になります。できていないことを報告するのではなく、家庭でうまくいっている工夫を 伝えるつもりで書いてみてください。

3. 短く、シンプルに

長い文章は、いちばん伝えたいことがぼやけます。長くなりそうなら箇条書きにします。詳しすぎるのも逆効果で、受け取る側が読み切れません。

4. 具体的に書く

後の章でくわしく扱います。この記事の中心になる原則です。

5. 楽しく作る

イラスト、シール、写真を使うと見やすくなります。クリアフォルダに入れて持ち運びやすく するなどの工夫も紹介されています。一人で作らなくてよいとも 書かれています。園の先生や相談機関と一緒に考えてかまいません。

6. 成長の記録として残す

古い記録は捨てないでください。後から振り返ると貴重な発達の記録になりますし、成育歴をもう一度まとめ直す手間が省けます

「具体的に書く」を言いかえる4つのパターン

神戸市の資料は、伝わりにくい表現を行動の記述に言いかえる例を示しています。 この4パターンを知っておくだけで、文章が変わります。

パターン伝わりにくい伝わる
擬態語・擬声語を行動にするドンドンする
ギャーギャー言う
足で床をける
大声で「いやだ」と言う
形容詞を使わないきれいに食べる
仲良く遊ぶ
こぼさずに食べる
たたかずに一緒に遊ぶ
直接観察できない動詞を避ける興味をもって聞く絵本の時間に10分間座って聞く
混ざった事柄を分解するあいさつする
お片付けする
顔を見て「おはようございます」と言う
おもちゃをおもちゃ箱に入れる

サポートブックの記載項目と書き方

様式は自治体ごとに違いますが、大項目はおおむね共通しています。 神戸市様式の並びに沿って見ていきます。

  1. プロフィール・呼び名
  2. 好きなこと・得意なこと・落ち着くもの/こと/場所
  3. 苦手なこと
  4. コミュニケーション(伝える/受け取る/拒否・SOSの出し方
  5. 感覚(敏感と鈍感の両方
  6. こだわりと切り替え
  7. パニック・危険なこと
  8. 生活面(食事・トイレ・身じたく・持ち物・睡眠・体調)
  9. 医療情報・服薬
  10. 緊急連絡先
  11. 伝えたいこと(成長したこと・練習中のこと)

見落としやすいのが、「落ち着くもの・場所」「拒否・SOSの出し方」、そして感覚の「鈍感」側です。 困った場面で支援者がいちばん知りたいのは、この3つです。

パニックや危険なことは、「きっかけ」「どうなる」「工夫・練習中のこと」の 3列に分けて書く様式になっています。結果だけでなく、その前に何があったかが分かると、 支援者は事前に手を打てます。

項目別の記入例(伝わりにくい書き方→伝わる書き方)

以下はすべて架空の例です。お子さんの様子はご家庭ごとに違うので、そのまま写すのではなく、 「行動として書く」形だけを借りるのがおすすめです。

先に大事な注意点です。表に出てくる工夫は、いずれもその家庭でたまたまうまくいっている個別の対応であって、他のお子さんに当てはまるものではなく、一般的な対応方法として勧められるもの でもありません。声のかけ方や体への触れ方(肩をたたく・手を握るなど)は、 触覚が敏感なお子さんには適さないことがあります。食事・偏食への対応(混ぜる、量を決めて 渡すなど)や、体調の確かめ方(体に触れて確かめるなど)も同じで、 医学的・専門的な裏づけのある方法として挙げているわけではありません。表は「書き方の形」を見るための見本として使い、中身はご自身のお子さんで 実際にうまくいっていることに置きかえてください。

項目伝わりにくい書き方伝わる書き方
好き・得意元気な子です体を動かすことと、電車で出かけることが好きです
落ち着くもの・場所すぐ落ち着きますやわらかい帽子をかぶる、部屋の隅で少し過ごすと落ち着きます
苦手音が苦手人が多くざわざわした場所、物が床に落ちる大きな音が苦手です
あいさつあいさつができません肩をポンとたたくと、声を出してあいさつできます。慣れない相手には頭を下げるまでです
要求(ほしい・したい)何も言いません小さな声で言うため気づかれにくく、気づかれないと泣き出します。顔が赤くなって下を向くのが前ぶれなので、そのときに声をかけています
拒否・SOS手が出ます単語を繰り返します。両手をそっと握って「〇〇が?」とゆっくり聞くと、ぽつぽつ話せます
理解・きくこと話が通じません二語文であれば2〜3つまとめて伝えても覚えられます。指で「1つ目、2つ目」と示すとより伝わります
感覚(敏感)神経質です高い声や物が落ちる音が苦手で、驚くと耳をふさいで立ち止まります。黙って肩をさすると落ち着くことが多いです
感覚(鈍感)痛みに強いです少し血が出る程度のけがに気づかないことがあるため、外遊びのあとは手足を確認しています
こだわりハンカチを離しませんハンカチを手に持っていると安心できるようです(以前はバスタオルでした)
切り替え切り替えが苦手肩をたたいて名前を呼ぶと顔が上がります。目が合ったら、指差しやジェスチャーで次にすることを伝えています
パニック(3列で書く)パニックになりますきっかけ: 部屋の配置がいつもと違うとき/どうなる: 部屋に入りたがらない/工夫・練習中: 事前に「今日は〇〇があるよ」と予告する
食事偏食です苦手な食材は細かくして料理に混ぜています。よけようとしたときは、スプーン一杯だけ渡して「これでおしまい」と伝えています
持ち物管理片付けが苦手袋に入れにくくくしゃくしゃになりがちです。入れやすい入れ物を探しているところです
体調言いませんのどやお腹の痛みは自分で伝えられます。鼻水と発熱には気づかないため、言葉数が減る・顔が赤いときは大人が体に触れて確かめています
伝えたいことよろしくお願いしますこの1年で自分で身支度できることが増えました。家族以外へのあいさつを練習中です

くり返しになりますが、上の表の工夫はそのまま真似するためのものではありません。 書いていただきたいのは、ご自身のお子さんで実際にうまくいっていることです。

医療・服薬・アレルギーの書き方には注意点があります

ここは自己判断で書き込まないほうがよい領域です。公的様式の作りに沿って整理します。

診断名は確定している場合のみでよい

神戸市の様式では、病院等で告げられた疾患名等を書く欄について、確定している場合のみ記載すればよい旨の但し書きが置かれています。 つまり、未診断でも、いわゆるグレーゾーンでも、サポートブックは作れます。 診断名の欄が空でも、日常の関わり方が伝わればサポートブックの役割は果たせます。

服薬は「支援の方法」だけ書く

様式にあるのは「1人で飲めるか/サポートが必要か」という支援方法の欄です。 薬の名前・量・飲ませ方の工夫は、保護者の判断で書き加えるものではありません。 記載が必要な場合は主治医の指示内容をそのまま書き写し、工夫を添えたい ときは主治医や薬剤師に確認のうえ記載してください。

医療的ケアは有無まで。手順は書かない

在宅酸素、吸引、気管切開、経鼻チューブ、胃ろう、導尿、人工呼吸器などの医療的ケアは、 サポートブックには有無を記載するまでにとどめてください。手技や手順を 書くものではありません。園や学校での受け入れには主治医の指示書などの別のプロセスが あります。具体的な進め方は主治医とお住まいの自治体の窓口にご確認ください。

アレルギーは別の手続きがあります

食物アレルギーへの給食対応や緊急時の対応は、医師が記入する 「学校生活管理指導表」などの別の書類と手続きで進めるのが一般的です。 サポートブックに書いたからといって給食が対応されるわけではありません。 必ず学校・園、養護教諭、主治医と個別に相談してください。

また、痛みや発熱に気づきにくいという記載は支援者にとって有用な情報ですが、 だから受診しなくてよいという意味にはなりません。気になる様子があるときは、 主治医や、お住まいの地域の発達障害者支援センター、自治体の子育て・障害福祉の 相談窓口に相談できます。

そして、サポートブックに書かれるのはすべて大切な個人情報です。 神戸市の資料も取り扱いへの留意を明記しています。氏名・住所・電話番号・学校名・ 病院名などが載る冊子なので、置き場所と渡す相手の管理には気をつけてください。

渡し方のコツ

作ったあとの渡し方についても、神戸市の研修資料が具体的な方法を示しています。

  • ゆっくり話せる機会に渡す。懇談会や家庭訪問など、時間をもらえる 場面を選びます。
  • まずは厳選して渡す。人は一度にたくさん覚えられません。 「これは使える」と思ってもらうことのほうが大事です。
  • コピーを渡し、自分も同じものを持って話す。同じ紙を見ながら 話せますし、言い漏らしも防げます。
  • 家庭での成功例は、要求ではなく支援のヒントとして伝えます。 学校と家庭では環境が違うので、あくまで参考として渡す姿勢が伝わりやすくなります。
  • 「できることもあります」「練習中です」という言い方でかまいません。 100%できることだけを書く必要はありません。
  • 先生の意見や経験を聞いて書き足す。「学校でうまくいった方法が あれば教えてください」と伝えると、冊子が両方向のものになります。

枚数について、ひとつ補足があります。「A4で1枚に収める」といった枚数の決まりは、 公的な資料にはありません。公的様式の考え方は、必要なページを選んで渡す ファイル運用です。全部を毎回持ち歩かず、初回は要点を絞り、用途に応じて渡すページを 選ぶ——これが実際に運用しやすい形です。

一般的に勧められている工夫

ここからは公的資料に直接の記載があるわけではなく、支援の現場や関連メディアで一般的に勧められている工夫です。参考程度に受け取ってください。

  • 分量の目安として「A4で2〜3枚程度」を挙げる記事があります(公的な基準ではありません)
  • スクールカウンセラーなど第三者に一度読んでもらい、伝わりにくい表現に気づく
  • 渡す時期の目安を「入学前の春休み中」「入学後ならできるだけ早く」とする

一度作って終わりではありません

サポートブックは定期的な見直しが前提です。入学、宿泊行事、進学といった節目や、 お子さんの成長に合わせて追加・削除していくと、その家庭オリジナルの冊子になっていきます。

「わたしのトリセツ」は、こうした情報を項目に沿ってまとめ、必要なときに先生や支援者へ 共有できるようにするサービスです。手元に整理された土台があれば、次に書類を書くときは 更新するだけで済みます。

名称も中身も、自治体によって異なります

「サポートブック」「サポートファイル」「相談支援ファイル」「サポートノート」など、 呼び方は自治体ごとに違います。さらに注意が必要なのは、同じ「サポートブック」という名前でも中身が別物のことがある点です。

  • 神戸市の様式は、いまの特性と、うまくいっている対応を伝えるものです。
  • 東京都大田区の「かけはし」は、生い立ち・医療・療育・教育の情報を綴じ込む記録型で、本人が自己の成長を振り返り自己認識を高めることも目的に 挙げられています。
  • ひょうご発達障害者支援センター クローバーは、いまの特性を書く「サポートブック」と、 生い立ち・発達記録をまとめる「プロフィールブック」を分けています。
  • 香川県・高松市の「サポートファイルかけはし」は、ライフステージを通して使うファイルで、作成は必須ではありません

様式が用意されているか、どんな型か、どこで受け取れるかはお住まいの自治体でご確認ください。様式がなくても、この記事の項目立てを 参考に、手元のノートで作りはじめて差し支えありません。

最後に

サポートブックは、上手に書いた人が得をする書類ではありません。保護者が作り、保護者が 管理し、必要な相手に必要な分だけ渡すものです。空欄があってよく、後から足していけます。 「これがあれば、この子は少し過ごしやすくなる」ということを、いくつか具体的に 書けたなら、それで役割は果たしています。

参考にした情報

(各リンクの最終確認日: 2026年8月2日。制度の運用や様式は改定されることがあります。 最新の情報は各リンク先および、お住まいの自治体の窓口でご確認ください)

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